2016年5月26日

5/25 U23日本代表vsギニア

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5/25 トゥーロン国際大会

U23日本代表 vs ギニア
3 富樫敬真(日本)
10 バンガリ・スマー(ギニア)
39 南野拓実(日本)

この日は、敬真・前田・喜田の、マリノス若手勢が揃って先発出場ということで、マリノスファン注目の試合になりました。エリク監督になるまで、マリノスからこんなにも世代別代表に選手を送り出すことになるとは思いもよりませんでしたね。フランスU18、フランスU21の監督を歴任してきた監督による若手積極起用が明らかに効果を出しています。

さて、私はテレビ前でNHKのニュースを見ながら試合中継を待機していました。あれ?そろそろキックオフなのになんでこんなに呑気にニュース流してるの?と思ってました。

お、急に番組終わらせにかかってきた!

画面が中継に切り替わります。やっとかよ、、、ほ?なんか敬真が喜んでる。周りの選手に祝福され、明らかに点を決めた直後でした。NHKが中継を開始したのは前半4分から。敬真が先制点を叩き込んだのは前半3分でした。うーんこれは酷いwww

乗り遅れてしまいましたが、慌てて試合を追います。日本はギニアに対して、ある程度はやれるだろうという自信を持って臨んでいたように見えました。ラインをかなり高めに保って、相手陣内相当深い所からプレッシングしていきます。

ギニアも積極的でした。日本が中盤でボールを奪い返した局面で、ギニアは意識が一気に前掛かりになるので裏がスカスカ状態でした。日本はショートカウンターからこの裏を使おうという攻撃で主導権を握ります。

最初に目についたのは喜田の奮闘でした。中盤、アフリカのフィジカル強者達を相手に、気合いの入った迫力ある潰しを見せます。ギニア相手にフィジカル面のディスアドバンテージを感じさせないプレーをしていたのは、最終ラインで競り勝ち続ける植田と、バイタルで効果的な寄せを発動させまくる喜田でした。

ビルド時も喜田は完璧だったと思います。相手FWの間に顔を出しボールを呼び込み、プレスかけられても落ち着いて去なす余裕と体のキレがありました。味方の位置を常に確認しつつ、パス回しが停滞しないようにチャレンジを続けました。

ところが際さんがやらかします。GKとDFの間に放り出されたなんてことのないボール、相手FWが猛然と突っ込んでくる中、櫛引との連携がとれずボールはゴールに向かってこぼれます。まだ際にはボールを掻き出す時間が十分にありました、しかし既にバランスを崩していた相手FWが道連れを狙い腕を使って強引に際を倒して、ぼてぼてのボールはそのままゴールへ。際はファールを主張しましたが、てかどう見てもファールですが、なぜか審判はファールを宣告せずまさかの同点ドールが認められました。

あれがファールにならないのはおかしいです。でも相手の腕一本払い飛ばしてでもボールに触ろうとして欲しかった。どうせ倒れるにしても、もう少し粘れたはずでした。

喜田は、相手の縦パスに対してここぞという場面で素早くアタックできていました。喜田自身が重要だと考える局面では、明らかにスイッチを入れて食いついていましたし、そのタイミングは上から見てても納得のタイミングでした。

しかし喜田の狩りは、相手ボールからイーブンなボールにするまでは最高なのですが、そこからマイボールにできない時が多いです。奪いきったか?っていうところでギニア人の長い脚がでてきます。そして、ギニアの攻撃の勢いは大きく削れても、結局もう一度相手ボールになってしまう。

ポジティブトランジションにおける喜田の寄与はこの試合とても大きかった。よく首を振って戦況を確認すると、一手二手先を読んだクレバーな試合運びを実戦していました。前半攻守において日本をコントロールしていたのは喜田でした。だからこそ取りきれないときのもったいなさはありました。

日本は喜田を中心に球離れ良くポゼッションを深め、チャンスを量産します。三丸は左サイドから超高精度のクロスを何度も供給し、敬真はクロスに対する動きだし・DFの間でひょっこり現れるセンスを発揮し、イキイキとプレーします。(マリノスではなかなかこの良クロスは入りませんね

先制点も、三丸のクロス→敬真だったようです。

敬真は前線からの守備もかなり頑張っていました。トップ下に入ってる鎌田がいい具合にリードしてくれて、残ったコースを敬真が塞ぎに奔走します。敬真は、この日の鎌田のようなチェイシングにセンスのある相方がいれば、2トップでも計算できます。

他に攻撃時目立ったのは、南野。中央絞ったり、前田とポジションチェンジしたりしながら、チーム1のキープ力を誇るドリブルで撹乱しました。鎌田にも所々で技術溢れるボールの扱いがありました。ボールを格納する感覚を抱かせるような、個人的に好きなタイプ。鎌田はまだ19歳。これで当たり負けしない体を作ったら、相当楽しみな選手です。

一方前田は全然絡めません。プレーが消極的で、チームとしてのダイナミクスに乗りきれません。持ち味をまったく出せない。自分で前にいけるところでもパスを選択してしまう。むしろ、サイドバックの際の方が前への気概を見せました。

敬真のキープから、前田へ、完璧に崩した場面でキーパーとの一対一。前田のシュートは力みすぎてボテボテでした。

松本山雅では前田の所で勝負せざるを得ない状況があって、何度失敗しても使ってもらえる信頼があったかもしれません。

マリノスに来て、前田は周りにうまく活かされなくてはいけなくなりました。その時々で、求められるもっとも効果的なプレー選択は、味方を使うことかもしれません。苦しいときは俊輔に預ければ何とかなってしまいます。しかし、その中で積極性と強引さを保って、自分の能力をアピールしていかなくてはなりません。

試合は、連戦の疲れと暑さが両チームを襲い、お互いに明らかにクオリティが失われます。徐々に大味な展開に。際は中途半端な選択ミスや、ポジショニングのまずさを露呈します。

ビルドアップが奏功しない日本は、敬真をSB裏に走らせ、ロングボールを付けようになります。しかしこれが案外うまくいく。ギニア人相手でも収めます。日本は敬真を起点に何度か決定機を迎えますが、ことごとく最後に息切れ、チャンスを逃し続けます。

ロングボールがある程度うまくいったので、ギニアのラインは下がり中盤にはスペースが生まれます。そこで、鎌田がドリブルでズルズルと相手をPA内まで押し込むと、南野に横パス。一瞬フリーになった南野は落ち着いてGKの裏をついて流し込む技ありゴール!

前半を2-1で折り返すと、後半は全く異なるゲーム展開になります。南野に替えて浅野琢磨を投入、敬真は南野のいた左サイドに移ります。正直敬真のワントップはもっと見たかったです、機能してましたし。ただ体力的な問題もあるのでしょう、今度は浅野にガンガン走らせようという魂胆です。

後半も、守備では大きなほころびはありません。植田と三浦は球際でも負けず、お互いにすばやいカバー、そして強気のラインコントロール。

でも、後半に散見されるようになるのはマイボール時のイージーなミスです。前半からいくつかあって、そこが相手のチャンス源になっていましたが、後半はその比でない量のミスが噴出しました。連携不足と暑さに依る集中力の欠如はあるでしょうが、あまりに多いので言い訳にはならなそうです。

そして守備では人数を掛けても、ギニア選手のキープ力に屈して奪いきれなくなります。展開がどんどん苦しくなり、浅野めがけて苦し紛れのロングボールが増えます。

浅野は前を向き、スペースが与えられるとさすがの推進力です。そしてそれを追い越していく敬真のランニング。ベストなタイミングで浅野からパスがでますが、少しずれてしまう、というシーンがありました。敬真の受け方はとても良かった。

敬真の大きな長所に、「フィット感」があると思います。パスの受け手に対して、今、あそこに出せばいいんだ!と分からせる、大きめで分かりやすいモーション→DFを剥がしたうえで居て欲しい所に現れる位置取り。パスの出し手と受け手と、そこで共通のヴィジョンを描ければ、たとえそのワンプレーが巧くいかなかったとしても、これでいいぞ、とお互い思えます。これが、チームにフィットしうまく使われていく敬真の力です。

急遽マリノスの練習試合に抜擢され、急造のコンビネーションでゴール。リーグ戦も、ナビスコ杯も、初戦から、連携確認のための時間が限られている中でゴール。U23日本代表デビュー戦でもいきなりゴール。このシンデレラストーリーには、敬真の勝負強さ・運など精神的な強さも、決定力やストライカーとしての素質も重要ですが、敬真独特のどんなチームにも馴染める「フィット感」が無視できないように感じています。

日本の交代カードです。疲れた敬真に替えて野津田岳人、ミスし過ぎの際さんに替えて井手口陽介。そして、なんと、際の代わりに右SBを務めるのは、喜田!ちょっと勘弁して欲しいですね、際さん。手倉森監督。喜田はマリノスでもSBなんてやったこと無いですよね?

手倉森監督は、マリノスのエリク監督(ポジションごとの役割を重視)と違って、一人の選手が様々なポジションを出来ることを重視します。だからこそ信頼してSBを任せたのなら納得できないことはありませんが、ちょっと疑問が残る采配でした。喜田はボランチとして、前半一番働いていたので。
後半は完全にギニアペースになるなか、日本はもう一度丁寧なパス回しから流れを取り戻しにかかります。でも、やはり少しずれるのです。繋がりません。

鎌田の貢献も下がってきました。繊細なボールタッチをする選手です。Jリーグではこれで大丈夫、というところで思わぬ所から伸びてくるギニア選手の長い脚。Jとはかけ離れたアフリカ仕様に苦しんでいた印象です。

浅野にも、まったくボールが収まりません。浅野は、前半敬真がやっていたようなサイドに流れて受けるといった動きが出来ません。結果を求めることに注力しすぎたのか、ゴールに直結しやすい中央での裏抜けにこだわります。これが浅野の得意なプレーではありますが。

浅野にパスを出す方も、工夫のないロングボールばかりで質が悪い。

手倉森監督は、鎌田に替えて大島僚太を投入します。原川のアンカーに、大島・井手口でオフェンシブに、中盤を逆三角形にして、浅野を孤立から救おうとします。

喜田はさすがに厳しそうでした。SBとして攻め上がるタイミングとか、サイドの相手への詰め方とか。タイミングが遅れたタックルで、イエローカードを貰います。でも試合終盤にはダイレクトでの絶妙なクロスを見せ、適応力の高さも見せました

交代策も実らず、後半は相変わらず日本はチャンスを作れません。井手口のビルド関与は低レベルでした。

ミスからピンチを招きますが、櫛引のナイスセーブに何度も救われました。

チーム全体として厳しい中で、前田は思うようなパフォーマンスが見せられずに焦っていたはずです。疲れを押し切って、前田は積極的にボールを呼び込み、サイドでスルーパスの受け手となる場面を増やします。

浅野に縦に入ったボールを、浅野がスルー。抜け出した前田にGKと一対一の大チャンスが訪れます。しかしながら、逆サイド読まれまくりのコースに放たれたシュートは、枠外でした。

試合は2-1で終了。日本に取っては、収穫よりは課題の多い内容になりました。オリンピック初戦はアフリカ最強のナイジェリアですが、アフリカ勢にたいして前からハメにいく守備はまだ通用するレベルにありませんでした。

特に後半のように、せっかく組織で人数かけて囲んでも、なかなか奪えないようだと戦術としてマイナスです。

その中でも喜田がフィジカルの強さと、ボランチに必要な能力を高いレベルで見せつけ、大きなアピールに成功しました。やはり途中でSBになってしまったのが残念ですが。

前田はあまりいいところがなく、決定機を2つ外してしまいました。フル出場こそしましたが、物足りない内容だったのは明らかです。

敬真は手倉森監督がこの試合でもっとも評価した選手でしょう。解説員の福西さんは敬真を一番に挙げていました。敬真はこの試合のMVPです。