2016年5月31日

5/29 横浜Fマリノスvs柏レイソル

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1stステージ第14節

横浜Fマリノス 3-0 柏レイソル
45 中澤佑二
51 齋藤学
88 パクジョンス

やっとホーム初勝利を決めた柏戦。

マルティノスは累積で欠場。新生マリノスを引っ張る喜田・敬真・前田をU23代表で欠いています。

さらに、哲也と勇蔵がスタメンに返り咲き、ここ2試合はクラシックなマリノスが姿を現しています

クラシックマリノスは、もちろん特徴としては良い点も悪い点もありますが、今はそれがいい方向に転がっているように感じます。そんな柏戦を振り返ります。

序盤からマリノスはビルドアップのやる気がない。しきりにペナ角相手SBの裏にロングフィードを送り、学や遠藤を走らせます。

勇蔵のパス回しへの諦めは、もはや清々しいレベルで、堂々と前線に蹴り込む姿は懐かしかったです笑。

一度、パクジョンスからのフィードに遠藤が抜け出しまあした。マーク剥がして一対一まで持っていけそうだったのに、既定路線のように中へのパスを選択してしまい、相手に奪われます。

遠藤の魅力はそういうプレーではありません。前半最初だから、とか言って消極的になられては、相手に取って恐い選手ではありません。もっと序盤からぶっ飛ばして欲しいです。

普段、まずはポゼッションから相手の出方を伺おうとするマリノスが、あまりにロングボールを多用するのは不思議でしたが、柏のビルド時の陣形を見て理由が明らかになります。

柏は守備時は普通に4-4-2ですが、SBに特徴があります。

右SBは仙台でCBの印象しか無い鎌田次郎。一方、左SBは攻撃参加が売りの輪湖直樹。

攻撃時には右SBの鎌田がスライドして、押し出すように左SBの輪湖が上がり、3バックを取ります。実質ディエゴオリベイラだけ少し前に張った3-2-4-1を作って、丁寧にビルドアップしてきます。

柏は、CB3人とボランチ2人を使って、マリノスの、翔さん・俊輔・ボールサイドのSH(遠藤か学)・中町ら前線プレス要員に対して数的優位を作ります。
普通のチームなら多少数的優位があったって、前線からプレス来られるときついものですが、柏の5人は違いました。彼らは焦りません。近い距離を保ち連携しながら、タッチ数の少ない短いパス回しを多用して簡単にマリノスプレスを去なしてしまいます。

特に、CBの中谷進之介と中山雄太の足元の技術がCBじゃないです。マリノスプレスをかわして前を向けば、良質な縦パスが誰からでも供給されます。これによって一気に真ん中でクサビを付けられるのでとても効果的。

この柏の可変システムに対し、マリノスは、ネガティブトランジションで3バックから4バックへの移行で生じるギャップを利用しようとしました。ペナ角SB裏は、試合前から用意させていたマリノスの明確な狙い所だったのです。

しかし、マリノスのロングボールは、柏の守備陣形が整ってから放り込まれることが多く、特にCB出身の鎌田のサイドでは学が体負けする場面が目立ち、チャンスには結びつきません。

前半マリノスは、ロングボールが奏功しないため、少し下がり目にボールを受けた学の単騎突破が唯一の実効的な攻撃オプテョンでした。

ディフェンス能力的にも、柏のシステム的にも、鎌田よりも輪湖のサイドの方が攻め込みやすいため学は遠藤とポジションチェンジしている時間帯も多かったです。

また、マリノスのプレスが逆効果を生んでいることもあります。前述のように、柏の3バックと2ボランチは、相手プレスを去なして前の選手に縦パスを付けるのが得意です。前線からのプレスがかわされると、中町とパクジョンスは、縦パスの出し手と受け手の両方をケアしなくてはいけない状況を作られてしまいます。

これがきつくて、柏がやりたいようにポゼッションを許します。次第にマリノスはプレス開始地点を決められないまま、自陣に引いて締めてははね返すだけの守備に移りがちになります。

ドリブルで持ち上がってきた鎌田の前にスペースを空けてしまい、堂々とミドルシュートを打たれます。ポストにあたってから、哲也の背中に当たったボールは、かろうじてゴールラインを割りませんでした。

哲也はスタメンに復帰してから、失点数が減りました。哲也の安定したセーブは随所に見られ、良いパフォーマンスです。もともと、飯倉にも哲也にも、それぞれの長所があります。

しかし、今は運も含めて哲也が乗っています。感覚的な問題ですけど、運まで引き寄せて、失点の匂いを漂わせない雰囲気を持っている事はとても大事な気がします。

改めて、ハイレベルなGK陣を流れによって使い分けられるマリノスは恵まれています。

柏は縦パスは入るので、その後のクオリティーが重要でした。縦パスをスイッチに、うまく攻撃に人数を掛けてきた時には、マリノスは耐える時間が続きます。でも、ブロック内で厳しく対応して、決定機までは作られませんでした。

徐々にマリノスは、柏に合わせて、チェイシングとブロック形成との使い分けをするようになります。ブロック形成の際は、出し手へのプレッシャーを諦めて、ブロック内に入った縦パスに、その受け手に対してメリハリをつけて寄せていきました。

守備から主導権を握ろうとするマリノスに対して、柏は生命線の最終ラインからのビルドアップにミスが連発し、前半の終盤はマリノスの時間帯もありました。

前半は0-0で十分だと思っていたのですが、ボンバーがやりました!俊輔のCKをニアで合わせて、ゴール逆サイドに流し込む技ありのヘッドで先制します。

やはりセットプレー。時間帯を選びません。全体としては押されていた前半なのに、1-0で折り返せてしまうのです。最高の形でした。勝者の点の取り方です。

チームとして、チェイシングとブロック形成を使い分け、ブロック内で厳しくいくことで最後耐えきる前半のマリノスの守備は評価されるべきだと思います。

ただ、後半を迎えるエリク監督は強気の指示でした。リスクをかけてもっとボランチに圧力をかけろ。特に中央を締めろ。というものです。あくまで能動的な守備を求めたのです。

学は後半も右サイドでプレーしました。何度もドリブル突破し、祐三とのコンビネーションも、大きな可能性を感じさせました。

学は絶望的にクロスが苦手な選手です。サイドをえぐったら、カットインが本来の形ですが、右サイドに移ってしまったのでクロスが第一の選択肢になってしまいました。

ゴール前ヘッド合わせるようなクロスは無理なので、学はニアで合わせてもらいたそうでした。グラウンダーで合わせられるならさらにいいですけど。
しかし翔さんは要求に応えられず、学が突破したタイミングでゴール前ニアへの走り込みができず、チャンスはことごとくCKに逃れていきました(結果的にCKから3点取るのでいいんですけど)。学が右サイドにいるときは、翔さんはこれを習得しなくてはなりません。

後半立ち上がりにマリノスは追加点を挙げます。再びCKから!一度はクリアされたボール、中町が競り勝ち、GKの前で学のもとに落ちてきます。それを振り向きざまに体を倒しながらうまく合わせました。

オフサイドを疑いたくなる程、学はGKの前で浮いていましたが、ディエゴオリベイラがラインの押し上げに遅れたので、オフサイドではありませんでした。少しラッキーなゴールです。

前からのプレスに積極性が増して、奪いきるシーンがやっと出てきたのは後半の良い所でした。

エリクの指示はそれを避けるように!でしたが、後半も真ん中に縦パスを通されるシーンは何度もありました。でもマリノスはたとえ縦パスを付けられても、最終ラインの対応が見事でした。

4人のうち誰一人としてズルズルと下がることなくコースを塞ぎ、CB間の裏のスペースに出されたらSBがしっかりカバーします。

これがマリノスの最終ラインです。胸を張るべきクラシックマリノスです

後半は、お互いにポゼッションを基調に相手ブロックのほころびを探り合う展開です。これはまさに俊輔が活きる環境でした。キープ力と、広い視野でマリノスの攻撃をリードします。

俊輔が祐三にスペースを作り、祐三が余裕をもってあげたクロスは、中町の前にドフリーで落ちます。中町さん、ドフリーなのに豪快なボレーシュートを選択!盛大に振り抜き、ボールは安定のクロスバー上!これ、スコアレスの展開でやったら怒られるからね!

ここで遠藤に替わってファビオ。

遠藤は、前半完全に沈黙も、後半には持ち味を出していこうとしていました。ただ俊輔も指摘していた通り、ガツガツ感が欲しかったです。
ファビオ投入で、ファビオをアンカー的に、中町とパクジョンスを少し前に、逆三角形をつくります。真ん中はもうさすがにガチガチです。中盤3人のうち2人がCB、1人がボランチという!笑

どうしても真ん中を塞ぎたかったんですね、エリクは。2-0だからといって仲川入れてリーグ戦でも初ゴールを!みたいなことは考えません。いや、これでいいです。完封だいじ。

これでバイタルへの縦パスは完全シャットアウトです。柏はかなり諦めが悪かったです。マリノスが異常な守備陣形を整えるまでは、中央を利用することに拘りました。そして実際効果的な場面も作っていました。上位にいるのも納得です。目指すべきサッカーがしっかりしていて、その具現化への意識と必要な能力を兼ね備えています。

サイドに押し出された柏の攻撃は恐くなかったですね。クロスを跳ね返す力はマリノスの自慢です。中澤187cm、栗原184cm、パク188cm、ファビオ186cm。

マリノスは翔さんにかえてカイケ。

重心が後ろに下がる中で、どうせ翔さんに放り込んでも収まらないので、それならカイケを前掛かりになっている柏の裏に走らせた方が可能性があります。

そしてCKから、とどめの三発目が生まれます。流れて逆サイドまで行ったボールを中町がクロス。パクジョンスがヘッドで合わせました。ボールに勢いはなかったですが良いコースだったのでGKの手は届きませんでした。

俊輔に替えて兵藤慎剛。最後はもうガッツリ自陣で引いて守りきりました。

クラシックマリノスが見せたのは、高い守備能力を持った個々が、統制のとれた動きで相手の攻撃を零封する強さでした。攻撃はロングボール主体で、学の単独チャレンジ以外でほぼ良いシーンを作れませんでした。むしろ攻撃オプションは後退しました。

しかし、相手に有利に試合が進んでいようと、セットプレーからお構いなしに得点を重ね、それで自らの勢いも増していく勝負強さがありました。

この試合では、マリノスの伝統と老獪な試合運びを、若手達に存分に見せつけられたのではないかと思います。もちろん試合の主導権を握れるなら良い。でも、マリノスはこうやって勝てるんだ!って